行政法(行政手続法 行審法 地方自治法等)専門メルマガ 2号 H20・5・14

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□□■□
行政法(行政手続法 行審法 地方自治法等)専門メルマガ 2号 H20・5・14
◆◇◆目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆◆◇◆
1.恩給権と担保権設定の法的評価…脱法行為か、契約は有効か等
 (参考:最判昭和30年10月27日判決) 
 
2.創刊の挨拶と第1回発行メルマガ「行政法の改正の流れ止まらず」のご紹介
◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆◆◇◆
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

1.恩給権と担保権設定の法的評価…脱法行為か、契約は有効か等
 (参考:最判昭和30年10月27日判決)

(1)恩給
 恩給とは,一定年限勤務して退職した国の公務員の本人またはその遺族に対し,
国庫等が給付する一時金または年金のことです。
 なお、もう恩給といってもあまりマスコミには出ませんが国家公務員等共済組
合法に基づく給付が支給される制度に移行したからです。ただ、恩給法は新法移
行時期までの退職公務員等には支給のための現行法令なのです。
 
(2)恩給を担保に借り入れする事例
 恩給法11条は,「恩給ヲ受クルノ権利ハ之ヲ譲渡シ又ハ担保二供スルコトヲ得
ス」としてるのですが、借金のためにこれを担保として提供して債権者が国等か
ら直接借金の返済を受ける事が行われてきたのですが、これが一体法的に認めら
れるのかが論点なのです。
 
(3)判例(最判昭和30年10月27日)

 ■「裁判要旨」
  いわゆる恩給担保の場合に、債権者が、債務者から交付を受けた恩給証書を任
意に債務者に返還しても、民法第五〇四条にいう「担保ヲ喪失又ハ減少シタル」
ものとはいえない。
 
(法定代位)
第五百条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債
権者に代位する。
 
(債権者による担保の喪失等)
第五百四条 第五百条の規定により代位をすることができる者がある場合におい
て、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、
その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けること
ができなくなった限度において、その責任を免れる。 
 
ア.事案
 
   債務者から恩給証書および恩給金受額の委任状を貰っていた債権者がそれを
返還した。その後債務者が支払わないので債権者は保証人に返金を迫ったが保証
人は担保を喪失したから支払わないといってきた。
 
イ.判決(一部引用)
 
 原判決が「主債務者である訴外Aにおいて同人の恩給を本件貸借の担保に供し、
その恩給証書及び恩給受領の委任状を被控訴人に交付してあつたところ、その後
被控訴人が右恩給証書及び委任状をAに返還した」との本訴当事者間に争なき事
実に立脚して、「恩給を受くる権利はこれを担保に供することができないこ
とは恩給法第一一条の規定によつて明であるから、右恩給担保は無効といわなけ
ればならない」と判示し、該担保が一旦有効に成立したことを前提とする上告人
(控訴人)主張にかかる民法五〇四条による保証債務免責の抗弁を排斥したこと
は論旨の指摘するとおりである。

 しかしながら、一般に取引の実際において恩給を担保に供するといえば、債務
者たる恩給金受領権者が恩給証書と委任状とを債権者に交付して恩給金の受領を
債権者に委任し、同人をしてその受領した恩給金を債務の弁済に充当せしむべき
ことを約すると同時に、右委任契約の解除権を放棄する特約をなすことによつて、
実質上恩給受領権自体に質権を設定すると同一の効果を収めることを指称するの
であるから、
 他に特段の事情の認むべきものなき本件においては、右当事者間に争なきとこ
ろも、前示一般の事例による事実と認むべきに拘らず、原審が恰も恩給を受くる
権利そのものに質権を設定したものの如くに解して、上告人主張の前示抗弁を排
斥したのは失当の譏を免れないけれども、
 いわゆる恩給担保の実質的関係が前説示のとおりである以上、その恩給金受領
の委任と受領する恩給金による債務の弁済充当についての合意はもとより有効で
はあるが、その委任契約の解除権の放棄を特約することは恩給法一一条に対する
脱法行為として無効たること勿論であつて、債務者は何時でも恩給金受領の委任
を解除し恩給証書の返還を請求し得るのであるから、
 前掲当事者間に争なき事実によるも、民法五〇四条にいわゆる「担保ヲ喪失又
ハ減少シタル」場合に該当しないこと明白である。それ故、原判決が前示事実関
係の下に所論上告人の抗弁を排斥したのは結局正当であつて、論旨は採るを得な
い。


(4)この問題の考え方         
         
ア.公権としての恩給受給権         
         
  行政法の伝統的な学説では、この問題は恩給権が公法上の権利であり、公権
の特徴として,一身専属性や不融通性があるので、その法的性質から議論すべき
としてきたが、このような公権だからとか私権だからとかと言った議論そのもの
は行過ぎた観念論であり一部を除いて支持できないでしょう。
  
  
イ.判決と実務

 上記判例は、恩給担保が,担保権としての内容を実質的にもっていることは認
めながら,解除権放棄または不解除特約の存在は許容できないとして,結果的に,
恩給法の脱法行為との批判をかわしつつ,恩給以外に適当な担保物を持たない受
給者の金融の途を残したのでしょう。

 現在でも,国家公務員共済組合法49条,厚生年金保険法41条等,社会保険,社
会福祉分野で多数の法律が,恩給法と同様の規制を行っており実務はこれで動い
ているのです。
 

ウ.年金などの担保にした金融についてはこれを立法的に解決して政府系の金融
機関などで借入れが可能にするなどの法的手当てが望まれます。

 
 
2.創刊の挨拶と第1回発行メルマガ「行政法の改正の流れ止まらず」のご紹介
■行政法(行政手続法 行審法 地方自治法等)専門メルマガ「創刊の挨拶」

 みなさん、はじめまして。このたび、行政法の専門メールマガジンを発行する
ことになりました。発行は、中川総合法務オフィスです。
 
  憲法の予定している議会制民主主義は、行政国家現象の中で大きく憲法制定当
初の意図から変容しています。
 
  それを憲法の変遷という捉え方もありますが、ここでは民主主義の観点から国
家の積極化を肯定した上で、行政権を市民的コントロールに置きながら法を市民
の手に渡し、国民主権的再構成を図りたいと思います。
 
  分かりやすくいうと、もう一度、「法律に基づく行政」を国民や市民に視点を
置いて具体的に実現していくということです。
 
  そのため、政治も含めた法的関連現象を正確に射程内に入れて、現行の行政法
を理解してそれを活用していく縁にこのメルマガがなることを祈っています。
 

■第1回目は「行政法の改正の流れ止まらず」です。
 
 東京で弁護士をしている後輩のN君は弁護士会の研修の役職を担当しているの
ですが、会社法の研修がずーと続いていた後は「行政法」の研修だそうです。

なぜだか分かりますか。
ある司法研修所教官レベルのかたは「行政法の訴訟は増やす」と断言しています。
 この深い意味が分かりますか。

 「行政紛争が増えて、行政訴訟が増えていく」という見込みでなくて、「行政
紛争を行政訴訟にしていく」という意思の発言なのですよ。

 しかし、京都でも行政法の実務家はとりあえず1人、市役所近くにいますが、あ
とは?

 ところが、私の住んでいる長岡京市でも信じられない「水道局」の不正もあり、
また、京都市でも職員の不正が続いて京都市の公務員希望者も著しく減少してい
ますよ。

 いままでは、泣き寝入りだったのです。官は強く民は弱しです。

 そこで、「行政法の訴訟は増やす」ために、まず実務家の養成です。不動産や
債権などの民事で食っているのがほとんどの弁護士ですから、行政法は知りませ
ん。やっと、新司法試験の科目になりましたが。

 次に法整備です。行政事件訴訟法の大改正はご存知の通りです。行政手続法も
もう制定されて15年目です。私の、司法試験の論文で行政手続法の制定が望まれ
ると書いたのが夢のようです。

 そして、行政手続法の小改正も続きますが、いよいよ「行政不服審査法」も大
改正されます。

 なんと、異議申し立ても再審査請求も廃止です。審査請求1本です。ダメなら間
口を広くした行政事件訴訟法による行政訴訟でしょう。弁護士も大量生産時代で
すから、実務家の新仕事になります。

 これからは、もう六法時代はおわったのでしょう。行政法が必須の法律科目の
時代です。


………………………………………………………………………………………
      

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
■編集後記(コラム)
 

●今般、あの裏金騒動が続くO市で行政法の研修講師を担当します。本日は日曜
で近所の長岡天満宮の霧島ツツジが満開で美しいのですが、わたしは研修テキス
トの作成に没頭しています。

  今回これくらいです。それでは、次回は来週発行予定です。お楽しみに。


◆◆ホームページを大幅にリニューアルしました。

    http://rima21.com/
 
◆事務所のブログもぐっと魅力的にしましたよ。

    http://nakagawaoffice.seesaa.net/
------------------------------------------------------------------

 
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
★中川総合法務オフィス(ネットワークで全ての法務問題を承ります)。

 無料法務相談(初回30分無料)は電話又はメールでお願いします。
 
 お急ぎのときは携帯までご遠慮なく。⇒090−5156−7593
 
 (行政書士法に基づく法的守秘義務で完全秘密保持)

 営業時間
  月曜〜金曜◆9:00〜19:00◆
  土曜・日曜・祝日は電話相談・メール相談のみですが、平日以外を希望さ 
れる場合は、事前にご予約があれば可能です。

〒617-0828  
京都府長岡京市長法寺川原谷13−6 →京都駅から10分で長岡京です。

電話(fax)  050−3424−5102   FAX : 020-4669-6788
e-mail : home@rima21.com

2008(C)Nakagawa Office
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。